イブラヒモってどんな紐?

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雪道の歩き方

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今週のお題「雪」

 

「もうとにかく雪が積もっちゃって、あっちこっちでイギリス人が転んでんの」

 

北海道で生まれ育った知人が、ロンドンに留学していたときのエピソードを語ってくれた。

 

「慣れてないもんだから、歩けないのよ。そこをわたしらはふつうのスニーカーで、ザッザ ザッザ歩けるのさ。あの日本人、どうなってんだ?!って目で見てんの。あはは」

 

意外だったが、ロンドンでは積雪が珍しいそうだ。その嬉々とした話しぶりからは、雪に慣れない英国紳士たちの次々とすっ転ぶ様子が目に浮かんだ。

 

「へぇ〜。で、それはどんな歩き方すんの?」

 

雪に馴染みのない長崎県生まれのわたしとしては、当然の興味をもって訊き返した。

 

「あ〜、それは教えられない」

 

このやりとりをしたのはもう10年以上前で、その答えはいまだに知らない。

 

今年、長崎はまだ雪に恵まれていない。暖冬だそうで昼間に気温10度を下回る日が少ない。2月早々、梅の花が咲いた。

 

九州の一県である長崎県は南国の印象が強いと思うが、日本海側のエリアに属するため実際はそうでもなく、冬はしっかりと冷え込む。

 

とくに昨年と一昨年の様子はまるで違っていて、2年連続で「豪雪地帯だったのか」というほど雪が積もった年だった。ベランダに15cm〜20cm。クルマは厚い雪で美味しそうにコーティングされ、雪見だいふくのように見えた。

 

信じられないような雪景色を目の当たりにしたわたしは、GTホーキンスのナイロン・ブーツを履き、誰も踏み荒らしていないところに足を踏み入れて、脛のあたりにまで達する雪深さを体感した。

 

ああっと息を呑む。本当にここは長崎なのか!

 

そのとき、不意にロンドンの街並に七転八倒する英国紳士たちの様子を思い出した。

 

(ああ、そうだ。あれを試してみなくては)

 

このチャンスに、いまだ知らない雪道の歩き方を試行錯誤することにした。クルマが走った轍には、人の歩いたシューズの跡も残っていて、踏み固められたところはほぼ凍っていた。

 

たしか「ザッザ ザッザ」という擬音を使っていたが…つま先を前方にスライドさせるような歩き方だろうか。

 

やってみようとザッと右足を踏み込んだ瞬間、わたしの胴体を取り残して右脚だけが大きく前方に進んでいった。要は、滑った。失敗だ。

 

その後も、こうか?あれか?いや、こうか?と試す。どうやっても、うまくいかない。たちまち靴裏のスパイクに雪が詰まり、滑り止めが効かない状態に陥った。ツルツルだ。諦めた。

 

これを書きながら、ネットで「雪道 歩き方」を検索してみた。すると雪道の歩き方を記したキュレーションサイトがわんさか出てくる。世間一般的にニーズのある悩みごとなのだろう。

 

しかしこれらが、知人の言っていた「ザッザ ザッザ」の歩き方と同じものかどうかは定かでない。

 

今年、長崎にはまだ雪が積もらない。雪道歩きの検証も練習もできないうちに、春がやって来そうだ。