今週のお題「わたしの好きな歌」
小学校2年生の頃だろうか、初めて自ら選び親に買ってもらった音源は、ジャッキー・チェンの映画サウンドトラック・コレクションだった*1。
現代の小2男子がそのチョイスをすることはまずないだろうが、わたしにとって当時のヒーローのひとりはジャッキー・チェンだった。記憶が確かではないけれども、1980年代は「カンフー」という言葉が「スマホ」と同じくらい世に溢れていた時代だったような気がする。
テレビでの放映も頻繁だった。毎回録画してもらい、何度も何度も繰り返して観た。『ジャッキー・チェン大百科』という文庫本サイズの図鑑に目を通しては、まだ観ていない映画に思いを馳せることもあった*2。とにかく彼にまつわるものに少しでも多く触れておきたい、そんなジャッキー熱が最高潮の時期だった。
買ってもらったサントラはクルマに乗って出かけるときは必ずかけてもらっていた。
『拳精』のテーマ曲「チャイナガール」はテクノポップ調で印象深い。『龍拳』は影の薄い映画だが、挿入曲「ドラゴンフィスト」「Do or Die」がカッコイイ。いずれも英語詞だ。
珍しいのは日本語の歌も収録されていることだった。『木人拳』の「ミラクルガイ」と『酔拳』の「拳法混乱《カンフージョン》」である。歌詞が自然に耳に入ってくるは嬉しいもので、すんなり覚えた*3。
当時ヘビーローテションしていたおかげで、今でもこれらの曲は完璧に脳内再生できてしまう。しかし、YouTubeを探せば歌ばかりか映像も交えた曲を視聴できるので、あまり脳内再生が活躍する場面はない。
さて、小学校2年生の頃にハマった曲としてもう1曲あげておこう。それは「ルパン三世のテーマ」だ。
「ルパン三世のテーマ」のことをWikipediaを調べると、バリエーションの豊富さに唖然としてしまう。ここで取り上げるのは「歌」の入っているバージョンである*4。
ルパン三世の歌を初めて聴いたのは、給食の時間の校内放送だった。ふだんはクラシックがメインだった記憶があるのだが、数週に1度はアニメソングを聴くことができた*5。
イントロが聞こえると、それはもうすぐに「わーい!ルパンだ!」と教室中が沸き立った。しかし、
真赤な薔薇は あいつの唇
渋い男性の声で歌がはじまる。
歌が…あるのか…。完全に意表を突かれて、教室は静まり返った。フォークに挿していたウィンナーを落とす。
やさしく抱きしめて くれとねだる
当時は気にも留めなかったが、歌詞の内容はおとな向けである。
サビがまたカッコイイ。小2男子の心が痺れた。
男には 自分の世界がある たとえるなら
空をかける ひとすじの流れ星
たまらーん!そのフレーズだけ妙に頭に残って、歌いながら帰ったものである。
でもこうして今、改めて書き起こすと《たとえるなら》のたとえを現実的な場面でも使ってみたくなるし、上手く使うと非常にカッコイイのではないかと思う。2番のサビをビジネスの場面で引用してみよう。
部長「まぁ、あれだな。さっきの先方のお怒りを分かりやすくたとえるなら…」
部下「たとえるなら?」
部長「たとえるなら 『風をはらい 荒れ狂う稲光』」
部長・部下「ルパン・ザ・サーーーード!」
カッコイイ。ビジネスの場面での《たとえるなら》に実践できそうだ。ただし、何らかの怒りに遭遇しておく必要があるし、立場の見極めを誤ると大変なことになる。
少なくとも「たとえるなら『風をはらい 荒れ狂う稲光』ですね〜」とは、怒っている当事者に向かって使ってはならない。
なお、実践にあたって当方は一切責任を持つつもりはないので、そのつもりで。成功を祈る。