2020年12月25日(金)、日本経済新聞・朝刊に掲載された囲碁観戦記の話である。
観戦記の担当は対局ごとに変わり、ひとつの対局の経過が数回にわたって解説される。いわば連載であり、その数日間はあの吉田美香さんが執筆者だった。
あ、「このブログは初めて読んだよー」っていう方、手を挙げてください。はい、ありがとうございます。大丈夫です!ここから先も囲碁のことは全くわからなくても読めます。ちなみに、吉田美香さんについては過去記事「吉田美香さんの囲碁観戦記は読み物」をご一読いただけると幸甚です。
その日の観戦記は「おやつで一服」というタイトル。書き出しは「ケーキ!!」。
冒頭からなんとも芳しい香りが漂っている…いや、これはもしかして火薬の香りだろうか。大爆発の予感さえする。
その後の展開はというと…
もはや日記だ。しかも、かつてないスピード感でもって一挙に押し寄せてくる。堪らず目が回りそうになったその刹那、想定外のことが起きた。彼女の銃口が、このわたし(@afutsuka)に向けられていたのである。手が震えた。
エゴ・サーチ、つまり自分の名前をネットで検索する自虐に走る。そこで「吉田美香さんの囲碁観戦記は読み物」というタイトルのブログが目に入った。
「消される!」
咄嗟に玄関のドアに鍵をかけると、シャッとカーテンを引き、冷たい汗の垂れる背中を壁に沿わせて座り込んだ。
冒頭に漂っていた火薬の香りは気のせいではなかったのだ。モノマネ番組でさんざん悪ふざけをして、背後から北島三郎ご本人様が登場してきたときの心境といったら、こんな感じなのだろう。
しかし冷静に読み進めてみると、吉田美香さんの反応はわりと好意的…どころか激賞だった。
何だ、この着眼点。表現、文章力の高さ。読み終えると強烈な光に包まれた。
わたしの記事によって、「粗相メーカーの規格外」を自認し、さらなる自信を深めた吉田美香さん。ありがてぇ話じゃねぇか。
その後、彼女は「あ、観戦記でしたね」と我に返るや、盤面の解説をわずか8行で済ませた。今回も奔放だった。振りかえれば、紙幅のおおよそ5分の4にわたって非囲碁の話が綴られるという、非常に歩留まりの高い観戦記だった。
ところで、Youtubeデビューされた件は見逃せない。動く吉田美香さんを拝見できるわけだが…この記事を読んで半年以上が経過した今も、閲覧を躊躇している。
容姿・声・所作を知ってしまうと、勝手に思い描いていたMY 吉田美香像が崩壊し、彼女の書いた囲碁観戦記への興味を失ってしまう恐れがあるからだ。
40代女性か…もしかすると同年齢かもしれない。わたしは囲碁を打てないので、共通の話題があるとすれば何だろう。『北斗の拳』だろうか。