午前8時30分を過ぎた頃、仕事に出かけた妻からめずらしく電話があった。セガーレ*1がまだ登校していないと、小学校から連絡があったのだそうだ。
セガーレはたしか午前8時前には自宅を出て行った。小学校までは歩いて30分もかからないので、これは様子がおかしい。探しに行かなければ。
とはいえ、セガーレが通学中に寄り道しそうな場所があるとは思えなかった。通学路は迷路のように張り巡らされた長崎市内の階段道。事件なのか事故なのか…考えるほど不安が募る。
クルマでは移動できないので、わたしはTシャツ・ステテコ姿からランニングウェアに着替え、HOKA ONE ONE Clifton 7を装備すると、なにがなんでも探し出してみせる意気込みで、玄関を飛び出した。
が、自宅から10mもない場所にセガーレの後ろ姿を見つけた。
「蜂がいた…」と鼻の頭に小粒の汗を光らせて、泣いていた。通学路のいろんな道に蜂が飛んでいて、怖くて通れなくなったらしい。
「蜂は『どうぶつの森』みたいに襲ってこないから大丈夫!」
わたしからできるアドバイスはこれが精一杯だった。ランニングウェアのままクルマに乗り込むと、セガーレを小学校へ送り届けた。